職場や育児のコミュニケーション~『褒める』、『叱る』よりも重要な日常のコミュニケーション
人とのコミュニケーションにおいては、『褒める』のも、『叱る』のもパワーがいるし大変ですよね。特に『叱る』は悪いことや、思い通りにいかない時に必要となる行為なので『褒める』時よりも余計にパワーを使います。
しかしながら、『叱る』も『褒める』も何か特別なことがあった時に発生する行為です。
本記事ではビジネスや育児において、特別ではない、日常のコミュニケーションの方が重要であること、日常のコミュニケーションのポイントを解説します。
1.『褒める』『叱る』とは
『褒める』とは、人のしたこと・行いを優れていると評価して、そのことを言う。こと。
『叱る』とは、相手の非をとがめ、きびしく注意する。こと。
このように『褒める』や『叱る』は相手が行ったことの結果について優れている点を評価したり、非をとがめたりする行為であり日常的ではなく、特別な場合に必要なスペシャルコミュニケーションと言えます。
多くの人はコミュニケーションというと、スペシャルコミュニケーションのことを連想すると思います。しかし、スペシャルではない日常のコミュニケーションの方が重要だと考えています。
2.日常のコミュニケーションが重要な理由
部下や、子供は常に『褒める』や『叱る』という特別な状況にはありません。むしろ、どちらでもない状態の方が時間的には長いものです。
この、どちらでもない状態でのコミュニケーション(日常のコミュニケーション)が重要となります。
理由は単純明快です。日常のコミュニケーションが取れていないとスペシャルコミュニケーションである『褒める』や『叱る』を受け入れることができないからです。
例えば、普段全く気にかけていない部下が失敗をしたときに叱ったらどうなるでしょうか。
『普段、何も見てないくせに、失敗した時だけ文句言いやがって』という印象を受けます。
褒めた場合でさえ『普段、何も見てないくせに、調子が良い時だけ寄ってきやがって』となります。
ですから、『褒める』や『叱る』よりも、日常のコミュニケーションが重要です。
3.日常のコミュニケーションのポイント
日常のコミュニケーションにおいては以下の項目を意識するとコミュニケーションがとりやすくなります。
3.1プロセス
結果が出るに至ったプロセスを認める。
(具体例)○○ができるようになったのは、宿題を毎日コツコツ頑張ったからだね。
3.2行動
結果が出ていない時の行動を認める。
(具体例)営業成績は5位だったけど、しっかり顧客の分析をして、独自の推進リストの整備をしていたね。
3.3意識
行動は行ってないけど、行動をしようとしている意識を認める。
(具体例)昨日より早く出社してたね。○○の準備をしようとしてくれたんだね。
3.4存在
なにもしていないけど、そこにいることを認める。
(具体例)毎日、健康でいてくれてありがとう。
4.結論
日常のコミュニケーションを見ると段々、認めるポイントが下がっているのがわかると思います。存在については、なにもしてないですがそこにいることを認めています。
考えてみてください。
あなたが、忙しいと、ぼやきながらも、今日、家事ができるのは子供が今日の朝、元気に起きてくれたからです。
もし、お子さんが朝から高熱を出してでぐったりしていたら家事や仕事どころではありません。
あなたが、毎日会社で自分の仕事ができるのは、部下があなたのしていない仕事をしているからです。部下が急に会社に来なくなったら、あなたは自分の仕事どころではありません。
あなたが、大変だと思いながらも毎日やっていることは、必ず誰かに支えられて成り立っているのです。
何度注意しても言うことを聞かない子供も、全く成果の上がらない部下も、あなたが家事や仕事を普段通り行えるように、何かしらの形で貢献しているのです。
それなら、認めて感謝をしましょう。
特別な時以外も認めてくれている、あなたが掛ける言葉は相手にとってスペシャルコミュニケーションになります。